カルテの裏側
にがい薬
2013年12月05日
今、子どもたちが病気になり、処方される薬の多くは、イチゴ味、 オレンジ味等にして、薬本来のにがみを和らげ、飲みやすいように工夫されている。しかし、 にがみを消せない薬もあり、そのような薬を前にすると、大変な抵抗に会う。私は、あえて にがい薬を処方するときは、子どもたちに向かって、「○○ ちゃん、にがいけど飲めるかな」と、 聞いてみている。
ここで子どもたちの心に、とまどいから勇気に変わる瞬間があり、次の診察の時「飲んだよ」 の一言があったときは、ささやかなコミュニケーションが成立したことを1人で祝福している。 にがい薬を媒体に、子どもたちが立ち向かわねばならないことを明らかにすることで、 自分を意識し、振り返ることができる。大人の役割は、こんな所にもあると思う。